【ワイナリー】
ニュイ・サン・ジョルジュから2km南に位置するコート・ド・ニュイにあるドメーヌ・ド・ラルロは、ドメーヌ建物の周りの約4.0haのぶどう畑のクロ・ド・ラルロから名付けられました。
“ラルロ”とはプレモー村とクロ・ド・ラルロの地下を流れる小さな川が語源です。18世紀末、ブルジョア階級出身のジャン・シャルル・ヴィアノがフランス革命(1789年)以降に建物と畑を所有しドメーヌの周りに塀を建設しました。これがクロ・ド・ラルロです。この家族が19世紀末までこの区画を所有していました。
19世紀末から1887年にかけてフィロキセラが猛威をふるい、地所所有者の多くが畑を手放す中、1891年ここを買い取ったのがネゴシアンのジュール・ベランです。数年後にはクロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュ(7.2ha)とクロ・デュ・シャポー(1.6ha)を手に入れ、その後しばらくドメーヌはベランの子孫が所有していました。
1987年、ボルドー、ブルゴーニュ、トカイなど各地でワイナリー経営も手掛ける大手保険会社アクサ・ミレジムの創設者クロード・ベベアールが、ジュール・ベランが所有していたブドウ畑と建物を買い取り、「ドメーヌ ド ラルロ」として創業しました。
ドメーヌ・デュ・ジャックのジャック・セイスの元で働いていた、黄金期のデュ・ジャックのワインを手掛けていたジャン ピエール ド スメに運営を委ねました。これが現代のドメーヌ・ド・ラルロの礎となっています。
1989年に醸造所を建て替え、1991年にロマネ・サン・ヴィヴァン(0.25ha)、ついで1992年にヴォーヌ・ロマネ レ・スショ(0.85ha)を購入しました。 1995年には、ウイルスに侵されていたクロ・ダルロのピノノワールを抜き、シャルドネに植え替えをしました。
2007年にスメの引退に伴い、運営はスメの右腕だったオリヴィエ・ルリッシュに受け継がれましたが南仏に渡りたいという理由で、2011年からジャック・ドゥヴォージュに引き継がれました。 しかし、ジャックがクロ・ド・タールにヘッド・ハントされた為、厳しい選考の結果、アレックス・ガンバルで辣腕を振るっていたジェラルディンヌ・ゴド女史が、2014年に新たにテクニカル・ディレクターとして採用されました。
多くの候補者から彼女の高い知識と技術力、情熱や哲学はこれまでの責任者に優るとも劣らないと、ジャック本人やアクサの総責任者も迷わず彼女に太鼓判を押した逸材です。ゴドになってから、品質がめまぐるしく向上し、2000年代後半からは特に高く評価されています。
【畑】
特級畑は、わずか0.25haのロマネ サン ヴィヴァンのみ。1級畑は、いづれもモノポール(単一所有畑)のニュイ サン ジョルジュ村にある赤のクロ デ フォレ サンジョルジュとクロ ド ラルロ、白のクロ ド ラルロ。ヴォーヌロマネ村にあるスショ。広域のコート ド ニュイ ヴィラージュ クロ デュ シャポー。
【栽培】
創業時からブドウ栽培・醸造において、自然な手法が心がけられてきました。まず、除草剤をやめて耕すようにし、90年代に殺虫剤を減らし、1999年に所有畑の一部1.5ヘクタール、2001年に6ヘクタール、2002年に10ヘクタールとビオディナミ栽培畑が増やされ、2003年産からすべての畑をビオディナミ栽培へ転換しました。
20歳までの若木はコルドンで、それ以上になるとギュイヨ仕立てにしています。芽カキを厳しくするため、摘房は必要はありませんが、カビ防止にために除葉はおこないます。 除草剤などの化学的介入は避け、 耕作によって畑の微生物を活性化させる事が重要と考えています。
房は手で丁寧に摘み取られ、潰れないよう小箱で収穫され、収穫時と収穫後に振動台も使用して、2回も厳格に選別されます。
【醸造】
【赤ワイン】
除梗は少なく、2005年は0%、2006年は30〜40%、2007年で40〜50%、2008年で50〜60%。上級キュヴェは、全房醗酵になることも多く、15℃程度に冷やした後、2〜3日で天然酵母での醗酵ははじまります。30〜32℃を超えないように保ち、浸漬は3週間以上にもわたります。最初はルモンタージュをおこない、途中からは足で1日に1〜3回のピジャージュをします。圧搾後、4日間静置してから、樽熟成をします。樽には、香り高いアリエ産の木を自社で購入し2年以上乾燥させたものを、ルモンで製樽してもらってから使用します。新樽比率は最大で50%、ワインを移すには重力を利用しています。これによりぶどうの重要な性質が保持されます。ワインの中の果実由来のキャラクターがより厳格に守られるのです。澱引きは1回で、約18ヶ月後に無清澄、無濾過で瓶詰めをします。
【白ワイン】
白ブドウは破砕なしの全房で圧搾後1〜2日間静置してから樽で天然酵母で醗酵させます。品温は、19〜21℃までの間に保つようにしています。90年代におこなっていたバトナージュは減少し、2003〜2006年産ではなし、2007年は固い年なので少し行った程度です。1年ほどでタンクに移して、数か月後に瓶詰めをおこないます。
ドメーヌ・ド・ラルロでのワイン造りの基本的ルールは、人為的な介入を出来る限り少なくする事です。高品質で凝縮された果実のお陰でワイン造りには手がかかりません。すなわち人の介入は極端に限られるのです。 実際のところ、ラルロのぶどうは醸造の過程で手をかけなければかけないほど、テロワールが純粋に表現されることがわかっています。
2021ニュイ サン ジョルジュ クロ デ フォレ レ サン ジョルジュ ドメーヌ ド ラルロ
- ブドウ品種
- ピノノワール
- タイプ
- 赤ワイン
- ボディ
- ミディアムボディ
- 味わい
- ニュイ サン ジョルジュ村にある1級畑「クロ デ フォレ レ サン ジョルジュ」は、ラルロの看板キュヴェの一つ。ラルロを代表するモノポール(単独所有畑)です。黒いフルーツや、ブラッドオレンジのような印象。タンニンが豊富で男性的な骨格も感じられます。
- 26,400円(税込)